ネパール サランコット村について

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困窮するサランコット村

苦しいサランコット村の現状

観光地にもかかわらず整備が不足しているサランコットVDCでは、観光によって収益があがっているのですが、観光産業に直接従事して、生計を立てている地元民はひと握りに過ぎません。

ほとんどの村人は伝統的な農業に従事しており、乾燥地帯で雨水に頼っているためメイズやミレット(とうもろこしやアワ・ヒエといった雑穀)しか農作物として収穫することができません。基本的なインフラである村と村を繋ぐ道路や飲料水、医療機関、教育なども整備されておらず、非常に困窮した地域となっています。

新しく進んだ農業技術が導入されれば、ポカラを農作物の販売消費先とすることで、換金作物を生産することが可能となるのですが、サランコット村の男性はポカラで職を得るか、余裕があれば海外に出稼ぎに行っているのが現状です。

まずは女性の労働環境の改善から

サランコット村から望むヒマラヤ山脈

教育を受けた若い世代のほとんどはキャリアを得るために町に移り住むため、村の主な住人は女性、老人、子供たちです。
女性の地位は男性よりも低く、収入を得るために必要な技能やトレーニングを受ける機会もなく、機会があってもそのための費用を捻出することができません。
女性の社会的地位の低さが、状況をさらに悪化させているのです。

ただ、女性たちは母親グループや女性グループなどの団体を組織し、
日常生活の必要を満たすために小額貯蓄・貸付などの活動に参加するようになってきているようです。
また、現地の団体「WZSDP」(アンナブルナ・ライオンズ・クラブ、ウィメンズ・スキル・デベロップメント・プログラム)の視察を通して、機織(はたおり)が女性の良い収入源になることがわかってきました。

今後はこれらの収入に沿いながらも、変化する市場に対応するため、代替となる収入源を探していく必要があります。

低所得層の就学への課題

サランコットVDCには小学校5校、中学校2校、高等学校1校、大学1校、チャイルドケアセンター1校があります。ナワ・ジョティ校(10年制)の主な学生は、ネパールの中で最も貧困とされるダリットやジャナジット(カースト制最下層)のコミュニティから通って来ています。就学率の向上はもちろん、低所得層の学生の負担を軽減し、質の高い教育を受けられる機会を与えることが必要であると考えます。

ネパールの教育制度
学 年 ネパール教育制度
11~12年生 大学校(12年制) 後期中等教育(Higher secondary school)
(11~12年生までが大学になる)
9~10年生 高等学校(10年制) 中期中等教育(Secondary school)
(9~10年生までが高校になる)
6~ 8年生 中学校(8年制) 前期中等教育(Lower secondary school)
(1~5年生まで小学校、6~8年生までが中学校になる)
1~ 5年生 小学校(5年制) 初等教育(Primary school)

※上記は、SAGUNによる調査レポートを基に掲載を行っています。

●SAGUN (Strengthened Actions for Governance in Utilization of Natural resources) とは

参加型地域開発を指導する国際的・学術的な専門家が組織する団体のことで、世界的にもその活動は高く評価されています。
ネパール・シナプス自立支援協会はSAGUNとパートナーシップを組み、全面協力の了承を得て活動しています。

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